2021-07

『わたしを離さないで』

『わたしを離さないで』で、キャシーは、「一本の線のこちら側にわたしとトミーがいて、あちら側にルースがいます。こんなふうにわかれているのは、わたしには悲しいことです」と言う。『闇の子供たち』に関して、永江朗は、「「ここ」と「向こう」に線を引き、「ここ」にとどまる者にはけっして書き得ない」本だと書いている。

『グロテスク』

 1997年3月に東京渋谷の円山町で起きた「東電OL殺人事件」と呼ばれる事件をモチーフにした小説。被害者は一流企業に勤務する39歳のエリート女性で、夜は売春をしていたらしいことで、人権侵害にも近いメディアの報道が続いた。斎藤美奈子は解説で、「『グロテスク』によって、はじめて私は、事件の被害者が「救われた」と感じた」と書いている。
映画

映画「イースタン・プロミス」

陰鬱なロンドンの闇の世界に息づくロシア・マフィアの人身売買。一人の少女がドラッグストアで大量の血を流して倒れる。少女は妊娠しており、赤ん坊は何とか助かるが、少女はどこの誰ともわからず死んでしまう。助産師アンナは少女の身寄りを探そうと、少女が残したロシア語の日記を解読しようとする。マフィアの運転手、ニコライの暗い影とかすかな温かさ。そして、得体の知れなさ。
つれづれに

つれづれに

前回は差別をテーマにしたので、ちょっとしんどかった。  今回は、興味本位に選んだ。興味本位に選ぶことで、かえって私自身の好みやら、指向やらが現れる。  巷では、オリンピックが開催されるらしい。元々オリンピックには反対だが、こんな時期に、正気...