本 『大丈夫な人』 社会的に弱い立場にいる人の持つ、もどかしさ、あきらめ、鬱屈感が、悪い状況を打開するのではなく、身を任せ、流されてしまう方向に動いていく。受け身の人間の心の働かせ方が、これでもかと描かれている。 2022.09.14 本
映画 映画「PLAN 75」 年をとっても、穏やかに暮らしていける生活の条件、経済的な条件が整っているならば、人は自ら死を選びたいとは、そうは思わないだろう。「プラン75」のあくどさがきわだつ。 2022.08.03 映画
本 『誰もボクを見ていない なぜ17歳の少年は、祖父母を殺害したのか』 17歳の少年の祖父母に対する強盗殺人事件。過酷な境遇で育った少年は、母親に支配、コントロールされていた。少年は、社会の、そして何より母親の被害者だった。その母親もまた、被害者だったかもしれない。 2022.07.13 本
本 『放蕩記』 「『放蕩記』を、受け容れがたい、これは母親への復讐の書でしかないと断じる人たち」の、「最も理解の妨げになるのは、〈母性という神話〉よりも、〈善なる者の傲慢さ〉、つまり多数の側にいることで自らの正義を疑わない人たちの、想像力の欠如ではなかろうか」 2022.01.26 本
映画 映画「ブラック・スワン」 主人公ニナは一流バレエ団に所属するバレリーナ。ニナは母親との関係で抑圧を抱えている。母親はニナが成功するのを望んでいない。いつまでも自分の支配下の「いい子」のニナであることを望んでいる。 ニナはそこから脱出するために、完璧さの実感=死に自らを解き放つ。 2022.01.19 映画
映画 映画「ブルージャスミン」 ジャネットという名をジャスミンと変え、精神の不安定さを抱えながらも、セレブの生活を満喫していた彼女は、夫が詐欺罪で捕まり、その後自殺、富も名声もすべて失った。妹の元に転がりこむが、精神安定剤と酒が手放せない。とあるパーティーで人のよさそうなセレブと知り合い、婚約にまでこぎつけるが…… 2020.12.01 映画
映画 映画「あるスキャンダルの覚え書き」 孤独に蝕まれた初老のバーバラと、家族に心を蝕まれた、ふわふわした妖精のようなシーバ。バーバラはシーバに好意を抱く。シーバは、自分の欲望、衝動を適切にコントロールできず、中学生の教え子と性的な関係をもつ。それを知ったバーバラはどうしたか? 2020.11.17 映画
本 『春にして君を離れ』 家庭を維持していく自らの能力を誇り、子どもや夫のことのみを考え、自分のことを考えることもない、謙虚で、奉仕の精神にあふれた人間だと自負しているジョーンが、何もない砂漠に放り出されたとき、どうなるか? 夫のロドニーは、ジョーンを「自分の作りあげた明るい、自信にみちた世界の中で幸せで、安泰な毎日を送り続ければいい」と願う。二人は共に自分を生きる勇気を持てなかった。 2020.10.25 本
本 「ヘルピング・ハンズ」 高級住宅地に住む、46歳のヘレーネは、突然夫を亡くす。子どももなく、何の準備もなしに、孤独の底に突きおとされ、人生の破局を味わっていた。 ヘレーネは自分を守ってくれる人を求めた。生活が壊れて、夢想が現実のなかに入り込む。自分で自分を止められない。守る者もいない剥き出しの現実のなかに、ヘレーネは落ちていく。 2020.10.12 本
本 『私の消滅』 錯綜した悪意と人間を損なう邪悪さの陰惨な連鎖に翻弄され、もがき苦しみぬいて自殺した女性。彼女を自殺にまで追いつめた人間たちに対する憎悪から復讐を企てる。洗脳による記憶の操作は可能なのか? 私の記憶を他の人間に埋めこむことは可能なのか? 2020.07.21 本