支配

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映画「ブラック・スワン」

主人公ニナは一流バレエ団に所属するバレリーナ。ニナは母親との関係で抑圧を抱えている。母親はニナが成功するのを望んでいない。いつまでも自分の支配下の「いい子」のニナであることを望んでいる。 ニナはそこから脱出するために、完璧さの実感=死に自らを解き放つ。
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映画「キャタピラー」

 1940年、黒川久蔵は徴兵され、中国大陸に赴く。4年後、両手足を失い、頭部に深い火傷を負い、話すことができず、耳は聴こえない状態で、首に勲章をかけられて、帰還する。新聞は英雄と褒めたたえ、村人は「軍神様」と崇める。
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映画「ちいさな独裁者」

人間の悪意をあぶりだしていて、それが事実として坦々と描かれていて、とても不快な気分になる。現実にあり得ること、似たようなことはどこでも起こり得る。そのどす黒さと逡巡のなさに耐えきれないのか。小さなヒトラーはどこにでもいる。

『ファーストラヴ』

女子大生による父親殺しというセンセーショナルな事件。父親は高名な画家。なぜ殺されたのか? その家庭では何が起きていたのか? 親との関係で心を病む、生きづらさを抱える、何かしら歪んだ世界を生きざるをえない人生を押しつけられる、この理不尽さに苛立ちと怒りを募らせる。こういう世界をミステリー風にうまく描ききったなと思った。
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映画「あるスキャンダルの覚え書き」

 孤独に蝕まれた初老のバーバラと、家族に心を蝕まれた、ふわふわした妖精のようなシーバ。バーバラはシーバに好意を抱く。シーバは、自分の欲望、衝動を適切にコントロールできず、中学生の教え子と性的な関係をもつ。それを知ったバーバラはどうしたか?

『私の消滅』

錯綜した悪意と人間を損なう邪悪さの陰惨な連鎖に翻弄され、もがき苦しみぬいて自殺した女性。彼女を自殺にまで追いつめた人間たちに対する憎悪から復讐を企てる。洗脳による記憶の操作は可能なのか? 私の記憶を他の人間に埋めこむことは可能なのか?
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映画「冷たい熱帯魚」、「凶悪」

埼玉愛犬家連続殺人事件をベースにした「冷たい熱帯魚」、「ある死刑囚の告発」を元にした「凶悪」。両者に共通するのは、金のための殺人と過剰な暴力。ある意味ではわかりやすい「名前のある毒」ともいえる。しかし、暴力の過剰さが増すごとに、現実から逸脱していくような不気味さが立ち現れる。

「とうもろこしの乙女 ある愛の物語」

悪意と邪悪さがきわまったような物語。13歳の少女がそこまでできるのか。不自然さはなく、一気に読ませる。シングルマザーの孤独と不安定さ。メディア報道の横暴さと、それをたやすく信じ、一緒になって追いつめる普通と呼ばれる人々。現代の問題にも切り込む衝撃作。
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映画「善き人のためのソナタ」

 盗聴という行為のなかでも、善良な、平凡な人間として、善きことを選びとる。当たり前の、普通の人間の行為。だが、それを選びとることが、どれほど難しいことか。自己顕示欲のない、一粒の麦のような人物を描いて秀逸。自分の存在に感謝してくれる人間がいるという事実を抱きしめられる幸せ。

『鼓笛のかなた』

呪者によって呪いを運ぶ使い魔とされた霊狐の野火と、人間の少女・小夜の心と心が求め合う、ひたむきで、一途な物語。一方で憎しみの連鎖により、いがみ合い、傷つけ合う人々の物語。