『老いの地平線』

 

 樋口恵子著 主婦の友社 2023年

 

 かかりつけ医もいないくらい、医者と縁遠かったが、9月、10月と白内障手術、MRI検査と、老人生活真っただ中にいた。
 

 そんななかで、読みましたよ。
 『老いの地平線―91歳自信をもってボケてます―』

 

 「老いのトップランナー」による示唆に富む言葉の数々。

 

 「かつて―60代、70代の頃に思っていた90歳と、実際になってみた90歳はまるっきり違う」

 「振り返ると、『60代なんてまだまだ若い。70代は老いの華。あるいは老いの働き盛り』だったと思う」

 「90代になっても一つひとつが発見です。そして発見は日々新た。老いても老いても、その先に新たな老いがある」

 「寂しいけれど、寂しいということは面倒がないということ」

 「無理して捨てない。モノには記憶が詰まっている。認知症予防にはモノを捨てないほうがいい」

 「徐々に衰え、自分を開き、家を開き、人の世話を受け入れ、弱者に変容する時期を経て、基本的に感謝をしながらあの世へ行く覚悟をしたい」

 

 大らかな心の構えがいい。いろいろあるだろうが、それでも前向きな楽しい老いの姿勢。翻って、構造的なベースの、決定的な違い。私は、圧倒的に多い、普通の、後ろ向きの老いを生ききれたらと思う。地下室の住人の孤独な老いを、それでも楽しく生きたいと願っている。

 

 

 

 

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