『わたしを離さないで』

『わたしを離さないで』で、キャシーは、「一本の線のこちら側にわたしとトミーがいて、あちら側にルースがいます。こんなふうにわかれているのは、わたしには悲しいことです」と言う。『闇の子供たち』に関して、永江朗は、「「ここ」と「向こう」に線を引き、「ここ」にとどまる者にはけっして書き得ない」本だと書いている。

『グロテスク』

 1997年3月に東京渋谷の円山町で起きた「東電OL殺人事件」と呼ばれる事件をモチーフにした小説。被害者は一流企業に勤務する39歳のエリート女性で、夜は売春をしていたらしいことで、人権侵害にも近いメディアの報道が続いた。斎藤美奈子は解説で、「『グロテスク』によって、はじめて私は、事件の被害者が「救われた」と感じた」と書いている。
映画

映画「イースタン・プロミス」

陰鬱なロンドンの闇の世界に息づくロシア・マフィアの人身売買。一人の少女がドラッグストアで大量の血を流して倒れる。少女は妊娠しており、赤ん坊は何とか助かるが、少女はどこの誰ともわからず死んでしまう。助産師アンナは少女の身寄りを探そうと、少女が残したロシア語の日記を解読しようとする。マフィアの運転手、ニコライの暗い影とかすかな温かさ。そして、得体の知れなさ。
つれづれに

つれづれに

前回は差別をテーマにしたので、ちょっとしんどかった。 今回は、興味本位に選んだ。興味本位に選ぶことで、かえって私自身の好みやら、指向やらが現れる。 巷では、オリンピックが開催されるらしい。元々オリンピックには反対だが、こんな時期に、正気の沙...

『レイシズムとは何か』

日本型反差別から脱却し、差別する権利・自由を否定する反レイシズム規範を日本社会でどのように打ち立てたらよいかという課題と向き合うための基礎となるレイシズムの入門書。 ブラック・ライブズ・マターは、極めて普遍的な闘争であり、従来の世界の反レイシズム運動や理論を塗り替えるいくつもの画期的な側面をもつ。

『もう一つの国』

 黒人であるとはどういうことか、差別の実相とはどういうものか、それは人にどのような影響を与えるのかが、ニューヨーク・マンハッタンでの登場人物たちの孤独な生活、互いの関係性、同性・異性とのセックスなどを通して浮かびあがってくる。そしてそれは、黒人だけでなく、差別を受ける人間一般についても言える。
映画

映画「私はあなたのニグロではない」

他者を同じ人間だと認めない精神構造は、人を怪物にする。 「強制的に作られた黒人への偏見の歴史、無知や先入観が引き起こす“差別の正体”」を、証言や豊富な記録映像で突き付けられる。  60年代の公民権運動から現在のブラック・ライヴズ・マターを踏まえて、アメリカの人種差別、ひいてはすべての人種差別の根底にあるものを摘出している。
映画

映画「サーミの血」

 北欧ラップランドで、トナカイを飼い、自然とともに暮らすサーミ人。ヨーロッパ人の先住民族に対する差別と偏見。差別される側は、自由に生きることが、故郷を捨て、ヨーロッパ人に同化することになってしまっている。
つれづれに

つれづれに

ブログを始めて2年が経つ。ボチボチと100回を目指そう。これまで個人的なテーマをとりとめもなく書いてきたが、少し視野を広げたい。 私は経済的弱者なので、差別的な視線を受けることがしばしばある。今回のテーマは、ルーツによる差別に関するものを選...
つれづれに

つれづれに

ブログを始めてからおよそ2年が経つ。50回投稿している。均すと1ヵ月2回ほど。自分の評価では、まあまあよくやっていると思う。気持ちが楽になった部分は確かにある。 次の2年で、また50回投稿して100回を目指す。量をこなしているとは言えないし...