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映画「クラッシュ」

人種も階層も異なる人々が善き面も悪しき面も持ちながら、不寛容と怒りに翻弄されている。侮辱され、自尊心を傷つけられた人々は、ある場合は極端な破壊的な行動にさえ赴く。玉突きの玉のようにそれぞれがクラッシュする。 「透明のマント」を着た5歳のララに衝撃の出来事が起こり、観るものは天国と地獄を味わう。

『人間の運命』

ロシアのドン地方の大地に根ざして、大地に結びつけられて、浮ついたところのない、愚かしさも、無慈悲さも、善良さも、邪悪さも、心根のまっすぐさも、たくましさも、そして弱さも、すべてを含んだような人間たちが、運命に、歴史に翻弄されながら生きている、その姿に心が震える。
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映画「善き人のためのソナタ」

 盗聴という行為のなかでも、善良な、平凡な人間として、善きことを選びとる。当たり前の、普通の人間の行為。だが、それを選びとることが、どれほど難しいことか。自己顕示欲のない、一粒の麦のような人物を描いて秀逸。自分の存在に感謝してくれる人間がいるという事実を抱きしめられる幸せ。

『鼓笛のかなた』

呪者によって呪いを運ぶ使い魔とされた霊狐の野火と、人間の少女・小夜の心と心が求め合う、ひたむきで、一途な物語。一方で憎しみの連鎖により、いがみ合い、傷つけ合う人々の物語。
つれづれに

つれづれに

新型コロナウイルスの蔓延が日常の風景をかえてしまっている。引きこもり気味の、高齢者の、わたしの生活はさほどかわらないが、先の見えない不安がじわじわと、しのびよってくるようで怖い。ブログを始めて1年が経つ。細々と、休み休み、書きたいことをあて...
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映画「ダウト」

ジョン・パトリック・シャンリー監督 アメリカ 2008年 1960年代半ば、ニューヨークのカトリック学校。子どもたちは普通に教科を学ぶ。教えるのは神父とシスター(修道女)。戒律は厳しい。  神父とシスターの間には目に見える格差がある。神父た...
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映画「その土曜日、7時58分」

シドニー・ルメット監督 アメリカ 2007年 父と子の葛藤。兄弟の葛藤。単純で無邪気な弟。心の歪みで性格を破綻させた兄。(最初から最後まで説明あり。要注意) 土曜日の朝、7時58分に事件は起きる。そこを起点に、時間が前後にさかのぼられる。視...

『冷血』 IN COLD BLOOD ⑥

カポーティの数寄な生涯を友人、愛人、ライバルが生々しく証言した、聞き書きによる伝記『トルーマン・カポーティ(上、下)』(ジョージ・プリンプトン著)がある。 その中にカポーティ自身の言葉もあり、次のように述べている。 葉や花のある植物を読者に...

『冷血』 IN COLD BLOOD ⑤

Ⅳ 隅っこ(コーナー) フィニー郡裁判所の4階の郡拘置所は、保安官住宅と、鋼鉄の扉と短い廊下でへだてられただけだった。保安官住宅には、保安官代理とその妻マイヤー夫妻が住んでいた。 マイヤー夫人は落ちついた、やさしい性質の持ち主で、率直な、実...

『冷血』 IN COLD BLOOD ④

Ⅲ 解答 クラター家のことを刑務所でディックに話したフロイド・ウェルズの告白によって、KBIは犯人ディックとペリーにたどり着く。 二人の写真をみたデューイーの妻マリーは、ペリーに対して、傲慢な面構え、しかし凶悪とはいいきれない、繊細だがひね...