映画「インファナル・アフェア」

映画

 

               

 

 アンドリュー・ラウ、アラン・マック監督 香港 2002年
 (ディパーテッド マーティン・スコセッシ監督 アメリカ 2006年)

 

 原題は無間道。香港ノワールの代表的作品とされる。

 「あまりの面白さに呆然となる。これぞ香港アクション、活劇の中の活劇だ。もうそれだけ大書すればいいが、そうも行くまい。……」という山根貞男の紹介記事を読んで、だいぶ前に見たが、再度見たくなった。

 潜入刑事・ヤンがトニー・レオン、マフィア側のスパイ・ラウがアンディ・ラウ。「ともに個性的な色気と気品をせつせつとかもす」と山根が絶賛するように二人が際立っていた。そして、ヤンの上司・ウォン(アンソニー・ウォン)もすごかった。マフィアに生半可でなく痛めつけられても、最後まで口を割らなかった。マフィアのボスも惚れぼれする名演とあったが、確かにそうなのだが、顔立ちのせいなのか、私にはボスが悪人に見えなくて、最後の死に方も非情さとは遠かった。

 ハリウッドのリメイク版が、マーティン・スコセッシ監督の「ディパーテッド」。見たのはこちらが先だった。潜入刑事をレオナルド・ディカプリオ、マフィア側のスパイをマット・デイモンが演じ、最後の展開に衝撃を受けた。その後、「インファナル・アフェア」を見て、「ディパーテッド」がちょっと色あせた。

 レオナルド・ディカプリオは、さほど好きな俳優ではなかったが、この役を見てイメージを改めた。追いつめられ、精神のバランスを崩しそうな演技はすばらしかった。それでもトニー・レオンのほうが、この役としてはずっといいと思った。ディカプリオには作られた匂いがかすかにしたが、レオンは自然体で、弱さも含めて潜入10年の疲弊と、微妙な精神の崩れ方が絶妙だった。
 アンディ・ラウは有能さとかすかな翳りを漂わせて、ラウを見た後では、マット・デイモンは陰がなくて、単なる野心家に見えてしまった。
 「ディパーテッド」では、精神科医とラウの妻が同一人物になっていて、ご都合主義というか、ありえない設定だと思ったので、「インファナル・アフェア」で別人だったのにはリアリティが感じられた。

 最後の終わり方が、「ディパーテッド」はハリウッド的というか、カタルシスを味わえる。一方、「インファナル・アフェア」のほうは、生き延びて無間地獄を味わうというのが東洋的な感じもする。ラウには無間地獄を生き続ける迫力に欠ける気もしたが、まだ入り口にいるのだから、これからか。

 「イースタン・プロミス」との繋がりで見たのだが、勝るとも劣らずよかった。3作の中では、「イースタン・プロミス」が一番新しい。

 

                

 

 

 

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