2020-06

『名もなき毒』

無差別殺人事件と、歪んだ自意識を持つ人間が周りを巻きこんで起こす事件が平行して描かれる。両者に共通してあるのは、激しい怒り。怒りは限界点に達し、外に向けて毒が発せられる。その毒は、結果として、自分自身を苛む毒と、他者を苛む毒に変わる。主人公は、「我々の内にある毒の名前を知りたい」と煩悶する。
つれづれに

つれづれに

底辺から眺めていると、世の中おかしなことばかりで、腹立たしさを通りこして絶望的になってくる。前回は、人間に対する信頼につながるようなものをとりあげた。差別や悪意や不誠実や暴力がはびこる世界に、それでもひっそりと善きもの、美しきものをさしだす...
映画

映画「クラッシュ」

人種も階層も異なる人々が善き面も悪しき面も持ちながら、不寛容と怒りに翻弄されている。侮辱され、自尊心を傷つけられた人々は、ある場合は極端な破壊的な行動にさえ赴く。玉突きの玉のようにそれぞれがクラッシュする。 「透明のマント」を着た5歳のララに衝撃の出来事が起こり、観るものは天国と地獄を味わう。