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映画「ブルージャスミン」

                        

 

 ウディ・アレン監督 アメリカ 2013年
      (内容の説明あり。要注意)

 

 ジャネットという名をジャスミンと変え、精神の不安定さを抱えながらも、セレブの生活を満喫していた彼女は、夫が詐欺罪で捕まり、その後自殺、富も名声もすべて失った。

  彼女は互いに養子の妹(ジンジャー)の元に転がりこむ。彼女は自分が庶民的な生活に身を落とすことに我慢がならない。精神安定剤と酒が手放せず、ブツブツと一人言をつぶやいている。
 姉は裕福なとき、妹を助けるどころか、妹夫婦が当たった宝くじの当選金を、夫の投資会社の投資に委ねて、すべて無くしてしまう。妹夫婦は離婚。それでも妹は逞しくおおらかに生きていて、新しい恋人と一緒に暮らそうとしていた。姉がすがってきたのを邪険にもせず、面倒をみる。姉は自分とは違うのだと。

 ジャネットはジンジャーもジンジャーの恋人も見下している。人間のクズみたいに思っている。ジャネットは深く精神を蝕まれながらも、もう一度セレブに這い上がることにしか生きがいを見いだせない。

 パーティーで、妻と死別した野心家で人のよさそうなセレブと知り合い、嘘で塗り固めた話を信じこませて、婚約にまでこぎつける。
 二人で婚約指輪を買いに行った店の前で、偶然ジンジャーの元夫に会う。憎しみを持ち続けている人間もいると、元夫は言って、ジャネットの嘘を暴露する。

 セレブはジャネットを拒否し、ジンジャーは恋人とよりを戻して、一緒に住もうといちゃついている。ジャネットは本当のことが言えず、ジンジャーの家を出て行く。ジャネットは、ジンジャーの元夫に聞いた息子に会いに行くが、息子もジャネットを拒否する。

 息子の父─ジャネットの夫を、浮気し自分を捨てようとした腹いせに、FBIに売ったのは、ジャネットだった。

 

 コメディに分類されているのが不思議。ジンジャーの逞しさは、確かに笑えるところがあるが、ジャネットはシリアスすぎて、身につまされる。健全な人はあり得ない設定だと笑ってしまうのかもしれないが。
 ケイト・ブランシェットの演技、特に一人言を街中で、見知らぬ人の隣でつぶやき続ける演技が、真に迫っていて、迫力ありすぎだった。アカデミー主演女優賞を獲得している。
「あるスキャンダルの覚え書き」の役柄と相反するようでいて、両者とも底に壊れたものを抱えもっているような危うさが共通していた。

 

           

 

 

 

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